アリアカーニバルVの新刊情報

タイトル「Water Ripples」(ジャンル:AQUA スペース:D−10)
主人公、美樹・M・モデルニは水の惑星アクアに住む、水先案内人(ウンディーネ)を目指す半人前の少女。
しかし彼女の勤める水先案内店「ジョリークラブ」は万年赤字経営で倒産寸前、社長のネコさんも居なければプリマ(一人前)も居ない、もはや風前の灯。
美樹も半人前ゆえの生活苦から、専ら副業のパン屋のお手伝いばかりの毎日……同級生の友人らが一人前と自立していく中、えも知れぬ不安が彼女を苛める。
「私はプリマになれるんだろうか……」
もはや美樹ひとりとなったジョリークラブの看板に見切りをつけ、他のお店へと鞍替えすればプリマへの近道とはなるのは明らかなのは、美樹にも十分に理解している事だ。
年中閉じたままの事務所の雨戸、ビニールシートをかけられた白いゴンドラ、並んだオールにはホコリがつもり、クローゼットに並んだいくつもの制服……
かつて栄えたであろう看板は、美樹一人が孤軍奮闘する今はもう見る影もない。
水の惑星アクアは梅雨時の「アクアアルタ」も過ぎ、やがて本格的な夏が訪れようとしていた。
遠くに見える柔らかな緑は、少しづつくっきりはっきりと色を強めて来ている。 水平線に顔を出した入道雲も力強い。
美樹は今日も太陽の昇らないうちからパン屋の仕事へと向かう。
……明日が見えない、そんな不安から目をそらしながら美樹は今日も歩く。