■生意気な猫の目は不思議に輝くアクアマリンの色をしていた。
蒼くて澄明なその瞳は、どういうわけかしつこく私に訴えてるように見えた。
美樹はしばらく黙り込んだ後、その猫へと手を伸ばした……
「……もうどうにもなれ!」
いや、違う、それは猫を被った自分の気持ちへの偽り。
私は甘えていた、王子様を待っていた。 誰かがこんなにも可哀想な自分へと手を差し伸べてくれると、どこか甘えた気持ちを持っていたのかもしれない。
一晩休んだ今なら、何となくそう思えてきた。
先輩が居ない今は、自分が舵を取らないといけない。
甘える相手など居ないのだ。
もう一度、お店の看板を立て直すなど、自分の出来る事からしてみれば奇跡に等しい復活劇なのだけども……
けれども、走り続けなければ、奇跡はおこらない……
美樹は薄暗い事務所の机の上にある、写真立てを引き出しの中へとしまった。
私は、一人前にウンディーネになりたいんだ……
■以前発行したARIA本のリバイスです。
完結していなかった物語をカッチリ完結させています。
オリジナルのキャラクターですが世界観はばっちりARIAの世界観にシンクロしているはずです。
違った方向から切り込んだARIAに興味を持っていただければ、と思います。