水銀燈は、空を見上げた。
思えば私は間違ってしまったのかもしれない。 あの時抱いた感情は間違いだったのかもしれない。
自分の中にあるホンの少しの期待に執着して、私は過ちを犯してしまったのだろうか。
見上げた空は、今日も逆巻く曇天に阻まれて全てを見せずに広がっていた。
知っている、誰も私を信じては居ないこと。
わかっている、誰も私の話に耳を傾けようとしないこと。
虚しさと寂しさに目をそむけ、全てを包み込む闇の中へと引きこもり、居心地の良いもう一人の自分を生み出しては、自分自身を愛していた。
連なる二つの魂は、深く透明な記憶の中へと潜ってゆく。
水銀燈は拳を握った。 ぎゅっと目を瞑り、歯を食いしばる。
空よ!伝えてほしい、誰でもいいから、どこでもいいから……
腕を伸ばしても、手をかざしても、目を凝らしても、全ては透明で虚しかった。
■EPと言うわけで、結構なボリュームでお送りします。
オフセットで発行できる内容なんですが、なにとぞ売り上げと反応、予算が芳しくないもので……しかし、内容に関してはそれなりに満足してます。
ローゼンメイデン・水銀燈のお話です。
テーマは孤独と疎外感。